「1円値上げ」で収益アップ?!とあるチェーン店の戦略とは?

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こんにちは!
今日はSNSで一時話題となった内容をお伝えいたします。

低価格が売りのファミリーチェーンのサイゼリヤで販売価格の変更があった事をご存知でしょうか?
これまでは「ミラノ風ドリア」299円(税込)で提供されていましたが、
7月から300円(税込)と従来よりも1円値上げされました。

新型コロナウイルスの影響で値上げも仕方がないとユーザーも理解していたものの、
まさかの1円のみ値上げ、また他の商品に関しては一部値下げが行われSNSで話題となりました。

1円の値上げが行われたことによりどういった影響が出ているのかインタビューが行われました。

3~5月気の営業利益 60億赤字

外出自粛や外食の機会が急激に減少したことにより
4月の全店舗売上高が前年同月比で33%まで落ち込むなどの打撃をうけ、
3~5月期の営業利益は60億もの赤字という結果になりました。

客足が伸び始めた6月でも売上高は前年比66%と完全回復とまではいかず、
営業時間を22時までに短縮し以前の86%の稼働率、
また座席数を減らしているため全体の81%の席の稼働となっています。

店舗経営にとって好ましくない環境下でも、
22時までの営業で利益が出るような体質を作ってきたことから
今後深夜の営業はせず、損益分岐点を下げることで
80%の売り上げでも利益が出る体質を目指すとしています。
目標を「8割で利益を出す」に設定しそこから逆算的に戦略を見直していく、と
今回をきっかけに今までは変えられなかった体制に変化をもたらすとのこと。

「1円の値上げ」がもたらした良い効果

「ミラノ風ドリア」299円(税込)から300円に値上げをしたことで思わぬ効果が出ました。
今回の値上げに踏み切った大きな理由は「コインの受け渡しを削減する」ことにありました。
感染対策の一環として出来るだけ減らすことを目的とし、
全ての商品の価格を50円単位にすることで当初6~8割減らせると想定していましたが、
実際にその通りになりました。

会計にかかる時間を30%削減

またコインの受け渡しが削減されたことにより、
会計にかかる総時間も30%削減。
ぴったり払いやすい金額になったことで釣銭を渡す時間が減ったことや、
グループでの会計での計算が行いやすくなり、
レジに来る前にグループで事前にまとめることが多くなる効果が生まれました。
また価格改定により個別会計は25%減少しました。

客単価がアップ

一部の商品では50円単位に統一する際に
ライスは169円(税込)から150円(税込)に値下げ、
ランチドリンクバーは110円(税込)から100円(税込)と
大きく値下げを行いました。
この結果客単価が下がるものと思われていましたが、
当初700円台前半だった客単価が1000円を目安に注文する人が増加し
結果的に客単価のアップに繋がりました。

逆境の中だからこそできる改革

今回のインタビューでは最後に
「価格改定は大正解。他社にもおすすめしたいぐらいだ。
ただ、当社はずっと税込みの価格表示にしてきたからすぐに改定できたが、
税抜きの価格設定をしているところは、
税込み価格を50円単位にそろえるのは難しいだろう。」
とメッセージを残しています。

今回のサイゼリヤでは「価格を揃えるために全商品の価格を調整する」という手法が取られましたが、
きっとこれは一例に過ぎず各店舗に合った「逆算志向」があるはずです。
「どうやったらコインの受け渡しを減らせるか」という
「人」をベースに考えた施策が良い結果をもたらしています。

いかに利益を上げるかではなく「いかに人に良くするか」を中心に考えてみると
思いもよらない発想が出てくるかもしれません。

出典:サイゼリヤ、社長も驚く「1円値上げ」の成果

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